621 RC 回路の特性
本章の目的は,抵抗RとコンデンサCだけで構成されたシンプルなパッシブ回路の,交流信号に対する振る舞いについて学ぶことである.
電気回路に交流信号を印加した時に注目するべき回路特性は2つある.
それは過渡応答特性と周波数応答特性である.これらを確認するには,
(a)急峻な立ち上がり/立ち下がりをもつパルス波(矩形波)を印加する → 過渡特性
(b)なめらかなサイン波を印加し周波数を広域に変化させる → 周波数特性
といった実験が考えられる.
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図621.1$ RC回路に矩形波と正弦波を入力
図621.1は抵抗RとコンデンサCで構成される$ RC直列回路に対し,方形波とサイン波を印加した際の出力波形を示している.
(a)図621.1a.(上)に示すように,急峻な立ち上がりと立ち下がりを持つ矩形波が印加されたとき,出力波形は入力信号波形と異なる.
※本実験の場合「出力」はコンデンサの両端に現れる電圧変化
入力信号の急峻な変化に対して回路素子が作用し,減衰・位相遅れ・なまり等の波形変化を生じさせる.
入力信号に対する回路の時間的変化を過渡応答または時間応答という.
※transient response / time response
(b)図621.1b(下)のように,電圧が滑らかに変化する正弦波を入力すると出力波の形状に変化はない(正弦波のまま).
しかし入力信号の周波数を変化させると出力波の振幅比と位相が変化する.
このような応答特性を周波数応答特性という.
※freqency response.略して”f特”(エフとく)とも
$ RC回路実験では,上記2点について理論的考察と実験結果を比較検討しながら,$ RC回路の特性を実感し把握する.
1.過渡応答特性の実験では,過渡特性を端的に表す特徴量「時定数$ \tau」を測定する.
2.周波数特性の実験では,特徴量「遮断周波数$ f_c」を観測し,把握する.
※遮断周波数:cut-off frequency
$ RC直列回路の過渡特性と周波数特性を要約すると以下のようになる.
回路の働きを記述する方程式は1階線形微分方程式である.
過渡応答は,時定数$ \tau=CRを持つ指数関数$ \exp\left(-\frac{t}{\tau}\right)によって記述される漸近的な動きであり,これを実験で観測した.
$ RC直列回路の周波数特性では振幅比の変化は全体になだらかであり,位相差は遮断周波数$ f_cにおいて$ 45\degree,それを中心に,$ 0\degree ~90\degreeの範囲で変化する.
以上.
2024/4/8